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「レヴェナント 蘇えりし者」 感想 その2

初めに試写会で観た「レヴェナント 蘇えりし者」は、
やっと! 待ちに待ったレヴェナントが!観れる〜という大コーフン状態で観ましたが、
一般公開が始まり、ようやく落ち着いて観ることができました☆

IMAX&12chネクスト・ジェネレーション・サウンドシステムで観ましたが、
試写会のホールで観たときより、大迫力でサウンドも素晴らしくて、全然違いました☆

一応、これから先は映画を通して、私なりに感じたことを書いていきますが、ネタバレ部分もあるので、
まだご覧になっていない方は気をつけてください。

↓ ↓



呼吸で始まり、呼吸で終わるこの映画。
映画の予告が終わって、いよいよ本編開始かな〜と、思っていると、
ヒュー・グラス(レオ)の呼吸音が聞こえてきます。
レオはアリカラ族の言語で話しているけれど、「呼吸」は、英字幕にbreatheとかbreathingとか
出ていたように思います。(← 適当..違うかもw)
ラストも息の音で終わっていきました。


「呼吸」で思い出したのは、「ātman」「アートマン」。
サンスクリット語とかインド哲学とかにででてくるアートマンは、「呼吸」と訳されたり
他に「生命」とか「魂」とか「個我」とか「本質」とか、そんな意味があったなぁ、、と、思ってました。
息をしろ。息が続くまで戦え。生き抜け。と、そんなメッセージが映画で繰り返されたと思うのですが、
息が続く限り、命ある限り、本能のまま、魂の信じるまま生き抜いていけ。と、
私が勝手に感じたアートマンの意味と重なりました。


先住民の住んでいた土地に、欧米の狩猟チームが入り込み、
土地や生物を奪っていく。
この時代、毛皮はとても価値のあるもので、より多くの毛皮を手に入れたい欧米人。
先住民は欧米人との約束をなし崩しにされ、土地や生き物、娘までも奪っていく。
先住民は、横暴な欧米人を追いだし、自分たちの土地や生き物を守るために戦う。

話し合って、相手の文化や背景を尊重し、お互いのことを理解して、規則を決めて、それを守っていけばいいのに...。って、私は思ってしまうけど、現実はそうキレイには行かないのでしょうね。
それが出来ず、欲望のまま、やるかやられるかの世界で、お互い生きるために殺しあってしまう。


極寒の地。
川の中に、靴もズボンも濡れるのも関係なく、躊躇なく水の中に入っていく。
川から出たとき、靴やズボンの裾が凍ってしまったり、足が凍傷になりそう〜と、
私は川から出た後のことをすぐに考えてしまったけれど、
水の中に入らなきゃ、獲物が捉えられなかったり、川を渡らなきゃ、先住民に追いつかれたりするんだよなぁ。と、思うと、「生き抜くため」に「今出来ること」を精一杯やりながら、
「今」を生きてるんだよなぁ。と、感じました。
まさに、「今ここ」を生きてる人達。
まだ来ない未来の心配や、不安で、何もしない。ということはないのだ。
自分が作り上げたネガティブな推論で悩んだりすることなく、
今できることの最大のことをやっていくことの繰り返しなのだ。
一日一日を生きていく。力の限り生き、生命力あふれすぎる日々なのだ。


現代の生き方と比べてしまうと、
生きるか死ぬかの殺伐とした生活は困るけれど、
自分のできることを力一杯発揮して、生きていくということが、なかなか出来なくなってるなぁ..と、
思ってしまいました。
保守的になったり、過去に囚われたり、人と比較したり、
自分がどうありたいか?と自分軸で生きるのではなく、他人軸で人目を優先しまったり..。
エネルギッシュに生きることがなかなか出来なくなっているなぁと感じました。


映画の中で、自分が生きるためだけではなく、他人をいたわり、慈悲をかけたりするシーンがいくつかありました。
家族を殺された先住民から、バッファローの肉を分けてもらったり、
誘拐されレイプされてる先住民の娘を助けたり、
フランス狩猟チームの荒らした後、生き残った先住民の女性に、ジム(ウィル・ポールター)は
食べ物をそっと置いて行ったり、隊長はレオ(ヒュー・グラス)が亡くなるまで待ち、その後埋葬してこい。と指示したり、他にもいくつかあったと思います。
こういった慈悲の心があるからこそ、助け合ったからこそ、生命は繋がってきてるんだよなぁ。。と、感じました。


極寒の自然の中、生きていくには厳しい条件が揃っていたけど、
その自然に降り注ぐ光の美しいこと。
木々や雪や川や火の粉や風が音を奏で、自然の壮大さと美しさに圧倒されました。
そして、どんな悪天候でも、必ず朝がやって来る。


一切皆苦(人生は思い通りにならない)で、諸行無常(すべてはうつり変わるもの )で、
諸法無我(すべては繋がりの中で変化している)なのだ。
と、仏教の教えが頭をよぎりました。

ラストは、神に委ねたレオ(ヒュー・グラス)。
フィッツジェラルドは、娘を誘拐された先住民の父によって、刺されて殺される。
娘を誘拐したのは、フランス狩猟チームで、フィッツジェラルドのチームではないけれど、
誘拐されレイプされていた娘を助けたヒューに対する恩返しなのだと思いました。
これも一つの因縁。原因があったから結果が生じたのだ。

ストーリーは得にひねったものではないのに、俳優陣の演技が上手で、
セリフは少ないけれど、映像で語られて、さまざまな事を感じました。
セリフで語るものではない分、人それぞれ感じることが違いそうです。
すごい映画でした。
そして、サバイバルの勉強になりましたー!



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  by leonardo_D | 2016-04-27 03:01 | The Revenant

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